フランチャイズ

【フランチャイザー向け】成約するフランチャイズの特徴

作成者: 植地 勇斗|May 1, 2024 12:30:00 AM

フランチャイズビジネス(FCビジネス)を立ち上げることは、多くの事業者にとって魅力的な選択肢です。既存の事業モデルを複製し、展開することで、短期間での事業拡大が期待できます。

しかし、実際に自分の事業のフランチャイズ化を進めようとすると、さまざまな課題に直面することになります。

まずはしっかりと利益があがる事業計画の策定をする必要があるほか、その計画がフランチャイザー、フランチャイジー両者ともにWin-Winになるような計画であることも重要です。
さらに実際に加盟店を増やしていくにも加盟店の開発や契約、加盟店がスタートしてからの支援業務などもあります。
そして加盟店が増えていけばそれぞれの加盟店オーナーとの信頼関係の構築も重要でしょう。

こうした様々な段階の課題を同時に、適切に対応できなければ事業の失敗につながりかねません。

この記事ではこれらのうち事業の計画段階で大事になる、加盟が増えやすいフランチャイズの特徴について解説していきます。

TOPICS(目次)

 

フランチャイズ加盟の成約を増やすためには

当たり前のことですが、フランチャイズビジネスを成功させるためには、加盟店の開発が不可欠です。

しかし、優良な加盟店を確保するのは容易ではありません。加盟希望者の獲得から、加盟契約の締結に至るまで
さまざまな課題に直面することになります。

ここでは、加盟店を増やすために本部が準備しておくべきことを詳しく見ていきましょう。

1.パッケージの充実化

フランチャイズ加盟希望者を確実に加盟に結び付け、成約するためには、フランチャイズ加盟パッケージの魅力を高める取り組みが重要です。

運営サポートの手厚さ

業種や業態によってはオーナーが未経験でフランチャイズオーナーとして経営を行う場合があります。そうした場合でも十分に事業を運営できるよう、加盟店のオーナーに対するサポートを手厚くすることで加盟店オーナーの満足度を高めることができます。

結果として、オーナー同士の紹介や口コミといったアナログな方向での拡大も見込めるかもしれません。

本社により経営指導や他の店舗での優良施策などのナレッジを共有するなど仕組みとしてサポートを強化することでフランチャイズ加盟の敷居を下げられるでしょう。

収益性の確保

フランチャイズ加盟の最大の魅力と言えるでしょう。

稼ぐことができる、完成されたビジネスモデルを運営することでより多くの利益を得られるからこそ加盟が増えていきます。

本部は、加盟店が十分な収益を得ることができる施策の検討を常に継続していく必要があるでしょう。

ブランディング

個人店や各加盟店では実施できないことの代表的な要素がブランディングです。

本部が運営母体として大々的なマーケティング施策を行い、積極的に世の中にそのサービスの価値を発信するからこそ加盟店を利用するユーザーが増えます。そしてユーザーが増えるからこそ、ブランドそのものの価値が向上し、さらに多くの加盟店を募ることができるという好循環を作ることができるのです。

こうした要素の重要性を本部が認識し、加盟店と一心同体のパートナーの意識でいることがとても大切です。

 

2.パートナーの明確化

さて、パートナーとなる加盟店、ひいてはオーナーの方へさらに目を向けていきましょう。

コミュニケーションの強化

本部と加盟店の双方向のコミュニケーションを活性化し、お互いの意見を尊重し合う関係を構築することが不可欠です。

例えば本部でフィードバックをもらいやすい仕組みを作ったり、加盟店の中での表彰を行ったりすることで本部と加盟店の関係性を深め、Win-Winの関係性を築くことができれば拡大の基盤とすることができるでしょう。

利益配分の適正化

フランチャイズにはロイヤルティーが必ずと言っていいほど関わってきます。場合によっては名義のみ貸し出す提携もありますが、フランチャイズビジネスとしての成功、加盟店の成約を目指す上では避けて通ることはできません。

この利益配分次第ではせっかく加盟したとしてもすぐに撤退、となってしまうこともあるでしょう。

故 稲盛和夫氏も「値決めは経営である」と仰っています。

加盟店も納得し、フランチャイザーとしてもしっかり儲けてさらなるビジネスを展開できる、そういった値決めをしていくべきと言えます。

経営方針の共有

そのフランチャイズビジネスが目指すビジョンと言い換えることもできます。

同じ目的、目標を共有することで本部と加盟店という立場が違えど強固なパートナーシップを築くことができます。そのため、実際に加盟を検討するフランチャイジーの方のペルソナを想定することも重要になります。

こうした経験や経歴があるから自社のフランチャイズビジネスが掲げる理念や目的と一致する、という人物像をイメージすることで実際に加盟開発を行う時のマーケティング、宣伝などに有効に活用できるほか、パッケージの中身を策定する時にも、そのペルソナに沿ったサービス手法の設定が行えます。

だからこそ、サービスやフランチャイズビジネスの事業計画を行う際には、その計画を遂行した時に想定する理念、目的を最初に設定することが望ましいと言えるでしょう。

 

加盟成約を増やすための7つのポイント

さて、本部が意識しておくべき内容についてここまで見てきましたが、ここからは用意するフランチャイズパッケージの内容に踏み込んでいきます。

本部が加盟希望者を確実に加盟に結び付けるためには、フランチャイズビジネスのパッケージとして以下に一覧で示した7つのポイントを充実させることが重要です。

 

では、1点ずつ見ていきましょう。

  1. ノウハウや経営手法を学ぶことができる

    フランチャイズ加盟を検討する人にとって、本部が提供するノウハウや経営手法の習得は大きな魅力となります。もしも、ゼロから起業するとすればビジネスモデルを考案し、それを実行できる人を集める必要がありますが、フランチャイズに加盟することで、完成したビジネスモデルと、それを経営するノウハウや情報を学んだ上で起業をできるわけです。もし何の説明もなく起業するとすれば、業界特有の事象に意味も対応策も分からずトラブルが起こってしまうことも多々あるでしょう。

    だからこそ、本部は加盟店オーナーが確実に成功できるよう、体系的な教育プログラムを用意する必要があります。

    具体的には、店舗運営、商品開発や販売管理、マーケティング、人事管理など、フランチャイズビジネスを成功に導くための幅広いノウハウや情報を提供する必要があります。加盟店オーナーが短期間で必要な知識とスキルを習得できる方法として、オンラインやオフラインでの研修やシステム作成をすることが重要です。

    以前から営業しているフランチャイズビジネスから簡単にでも気をつけるべき例を学ぶだけでも、その業界で事業をしやすくなることは間違いないのです。

  2. 運営開始後のサポート

    加盟者が安心して事業を立ち上げ、継続的に成長できるようになるためには本部の手厚いサポートが欠かせません。

    本部だからこそできる大規模なマーケティングや宣伝、日々の運営に関わる相談事など加盟店オーナーが求める細かな悩みにも迅速に対応できる構築を用意する必要があります。

    また、すでに軌道に乗った実績のある先輩加盟店との交流の機会を設けたり、加盟店の中での表彰を行ったりすることで加盟店同士の繋がりを積極的に作ることで、本部と加盟店、加盟店同士のコミュニティを形成していき、長くビジネスを続けやすい基盤を作っていくこともフランチャイズビジネスの将来性やLTV(Life Time Value=顧客生涯価値)を考えると大切になってくるでしょう。

  3. 投資回収の見込み

    加盟希望者にとって、フランチャイズビジネスへの投資が十分な収益性を生み出すことが最も重要です。本部は加盟店の収益性を高めるための施策を検討し、加盟希望者に明確な収益見通しを示す必要があります。

    例えば実際に運営している店舗への見学を行い、そのオーナーの話を聞く体験会を催したり、事例として紹介したりすることはもちろんのこと、逆にうまくいかなかった場合の見通しやすでに失敗した施策などを伝え、リアリティのある金額感を示すことでより納得した状態でパートナーシップを築くことができるでしょう。
    初期に資金を投じる決断をしやすくするためにも実際の運営を行なった際のリアルな収支状況を伝えることでフランチャイズ契約にも繋がりやすくなるはずです。

    信用度が高くお互いのパートナーシップが高ければアドバイスやフィードバックも建設的な議論となり、それを活かした新たなサービスの開発などに取り組むことが可能になるかもしれません。

  4. 適切な投資コスト

    フランチャイズ加盟にかかるコストが適切であることも、加盟希望者にとって重要な判断基準になるでしょう。本部は、初期投資やビジネスモデルの収益性、そこに使われている技術や考え方、フランチャイズとして加盟するブランドのイメージ、そうした数多くの諸条件を加味した上で、加盟者にも納得感のある値段でのコストを設定する必要があります。

    闇雲に初期費用を高くしたり、加盟金を少なく見せかけてロイヤルティーを高くしたりなど、値段づけ自体は本部の一存で可能ですが、そうした値決めを行なった場合、後々拡大する際の足枷になるか、そもそもフランチャイズビジネスとして失敗に終わってしまうかもしれません。

     

    そのため、加盟店オーナーにとって過度な負担とならないよう、必要最小限のコストで事業を立ち上げられるよう配慮する必要があります。一方で、本部の収益性も確保できるよう、コストの設定には十分な検討が必要です。

    加盟希望者にとって魅力的なコスト設定を実現することで、より多くの加盟希望者を獲得することができるでしょう。

  5. 事業フローの再現性

    フランチャイズビジネスの成功には、本部が構築した事業フローの再現性が重要です。加盟店オーナーが本部のノウハウを活用し、確実に成果を上げられるよう、標準化された運営手順を提供する必要があります。反対に、「その人だからこそできた」という属人的なモデルは極力排除するようにしましょう。

    再現性が高ければ高いほど、フランチャイズとしての展開スピードが速くなり、競合との競争に対しても優位性が獲得できるはずです。現代においては属人的になりがちなプロセスをソフトウェアとして提供したり、AIに学習させることで今までになかった分野のビジネスをパッケージ化し、フランチャイズに参入する事業者が増えてきています。

    再現性が高いからこそチェーン展開していくフランチャイズビジネスとしての成功をおさめることができるのです。

    本部は、いかに簡潔で明確なマニュアルを用意し、店舗運営、商品開発、マーケティングなど、フランチャイズビジネスの各プロセスを徹底的に分析・標準化できるかに注力する必要があるでしょう。

    このような不断の努力を続け、パッケージのアップデートを怠らないことで、加盟店オーナーの初期投資リスクを最小限に抑えつつ、確実に成果を上げられるビジネスモデルを提供することができます。

  6. 共感を生む理念

    フランチャイズビジネスの成功には、加盟店オーナーが本部の理念や事業目的に共感することが重要です。本部は、加盟希望者の心を掴むような魅力的な理念を打ち出す必要があります。

    単なる収益追求ではなく、社会課題の解決や顧客への価値提供など、加盟店オーナーの志を高めるような理念を掲げることで、より強い共感を得ることができます。現代では、ただ収益を追求するビジネスモデルはオーナーはもちろんのこと、エンドユーザーにも毛嫌いされる可能性が非常に高く、かつ一度広まった悪評は瞬く間にSNSにより拡散されてしまいます。

    しかし同時に、社会貢献性をもった共感できる理念を打ち出すことで、加盟店だけではなくエンドユーザーの共感を得られるかもしれません。もし、強く共感したユーザーやオーナーが現れ、その理念と自らの事業目標が一致した場合、より強い帰属意識と主体性を持って事業に取り組むパートナーとなりうるでしょう。

    実際に、創業者が強く理念を打ち出すことにより、その理念に共感するからこそ加盟を決める、という事業者も数多くいらっしゃいます。どのような事業でも何らかの価値を生み出し、利益を獲得するからこそ、その先に描く理念による違いがより重視される時代になってきているのかもしれません。

     

  7. スムーズな立ち上げ

    加盟希望者にとって、フランチャイズビジネスの立ち上げがスムーズに行えることも重要な要素です。

    全くのゼロから始めるよりも初期投資を抑えられるような仕組みはもちろんのこと、行政との折衝や、書類作成、あるいは大規模なマーケティングや宣伝、契約の明確さなど多岐に渡ります。

    ただしお互いに事業を拡大し、価値を提供する責任を持ったパートナーとしての役割を果たす前提のもと、有形無形を問わずオーナーの負担をなるべく抑える仕組みを形成することが重要になっていきます。

参考文献1

参考文献2

これからのフランチャイズビジネス

おさらいですが、フランチャイズビジネスは、新規事業を立ち上げる際の有効な選択肢の1つです。

既存のブランド力やノウハウを活用できるため、低い認知度や停滞した売上といった課題を容易に克服できるメリットがあります。
一方で、フランチャイズシステムでは本部の定めた業務フローに沿って運営する必要があるため、経営の自由度が制限される可能性があります。

こうした実態を踏まえつつも、これからさらにフランチャイズビジネスは盛り上がるでしょう。日本国内の経済状況や若者の機運の高まりを考えても、独立開業する人が増えるだろうほか、国も政策としてスタートアップ企業や起業家そのものの支援に力を入れ始めています。

新たにフランチャイズを立ち上げる方もいれば、最初の事業として既存のフランチャイズビジネスに加盟する方もいらっしゃるかもしれません。

いずれにせよ、消費者ニーズに合わせて事業を展開することができ、コロナ禍の政府の方針にも上手く適応したフランチャイズビジネスは今後も成長が期待されます。さらに、AIやIoT技術などを活用することによって今までフランチャイズが進出しづらかった領域にも進出していくことが見込まれます。

また、業界の種類だけではなく、若者のライフスタイルの多様性や超高齢化社会の到来に伴って、同業者の中でも質的に異なったビジネスがより多く展開されていくかもしれません。

 

 

まとめ

今回は、加盟店が成約しやすいフランチャイズビジネスの特徴について見ていきました。

具体的な金額や人員の適切な配置は業界分野によって異なりますがどの分野においても、「加盟店を増やし、加盟店が収益を獲得するからこそ本部もより高い収益を上げることができる」というフランチャイズビジネスの構造は変わりません。

AIをはじめ多くの新しい技術はあれど、この基本的なビジネスモデルは不変であり普遍です。

だからこそ、時代や状況が変わっても変わらない本質を突いた経営を行うことで、加盟店と本部が対等なパートナーシップを築くことで双方の好循環を創出していくことができるでしょう。

 

参考文献

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